家庭教師は一般的なアルバイトよりも報酬が高く、やりがいもある魅力的なお仕事ですが、一方で、相応の大変さが伴うことも事実です。また、引っ越しや生活環境の変化などの要因を受けやすい働き方でもあるため、「家庭教師を辞めたい」と考える方も多いはず。
しかし、家庭教師は「登録センター」「お客さま」の双方に挟まれる立場なので、辞めるのが難しいと考えてしまうのも無理はありません。
この記事では、家庭教師を辞める前に確認しておくべきことや、家庭教師を辞めるための手順や注意点を解説しています。出来るだけスムーズに新しい生活を始められるよう、知っておくべきことをチェックしていきましょう。

家庭教師を辞める前に確認しておきたいこと
家庭教師は責任の伴うお仕事ですが、だからといって「何があっても絶対に辞められない」というわけではありません。お客さまにはお客様の人生があるように、先生たちにも同様に人生があるので、辞めたいと考えるのは悪いことではなく、自然なことです。
一方で、家庭教師というお仕事は誰でもできるお仕事ではなく、さまざまな学びを得られる魅力的なお仕事でもあります。
皆さんが「辞めたい」と考えた原因は、一体どこにあるのでしょうか?まずは、家庭教師を辞める前に確認しておくべきことを知っていきましょう。
家庭教師を始めたきっかけ
家庭教師として働いたからには、必ず「家庭教師を始めたきっかけ」があるはずです。別の言葉でいえば「原点」ともいえるものですが、家庭教師としてさまざまなことを経験していくうちに、目の前の仕事に忙殺され、いつの間にかこの原点を忘れてしまっているのかもしれません。
- 子供と接するのが好き
- 何かを教えるのが好き
- 家庭教師に憧れた
- お金が欲しかった
- 他人に勧められた
家庭教師を始めるきっかけには、以上のようなものがあげられますが、一般的に「〇〇が好き」という動機で始めたものは、人生におけるライフワークになる可能性を秘めています。
したがって、お客さまの対応が大変だったり、生徒の成績がなかなか上がらなかったりと、目の前の仕事が大変なあまり、「今この時だけ」は辞めたいと考えてしまっているのかもしれません。
しかし、もう少し踏ん張れば「この仕事をやっていてよかった」と思える時が来る可能性があります。心のどこかに「〇〇が好き」という気持ちがあるなら、辞めるのをもう少しだけ待ってみても良いかもしれません。
家庭教師のメリットとデメリット
一方で、「家庭教師に憧れた」「お金が欲しかった」「他人に勧められた」といった、「〇〇が好き」以外のモチベーションを持って家庭教師を始めた場合は、少し別の角度から家庭教師というお仕事を考える必要があります。
もう一度、家庭教師のメリットとデメリットを把握した上で、辞めるかどうかの決断を下してみましょう。
家庭教師のメリット
まずは、家庭教師のメリットを再確認していきましょう。自分でも気がつかなかった「家庭教師の強み」があるかもしれません。
やりがいがある
どのようなアルバイト、仕事でもそうですが、継続していくには「やりがい」が必要です。やりがいがなければ、社会に対する帰属意識を得られず、「何のためにこんな仕事をしているんだろう」とネガティブな方向に考えてしまい、結果的に「お金のためだけに働く」ということになりかねません。
しかし、この点家庭教師は、自分の仕事に対してリアクションをくれる生徒、そして保護者が常に存在します。「自分の仕事が誰かの役に立った」ことが直接的に理解できるので、やりがいを存分に感じられる点が大きなメリットです。
待遇が良い
他のアルバイトや仕事と比較して、家庭教師の待遇は比較的好条件です。
家庭教師は業務委託契約という、一般的な仕事とは異なる契約を結ぶことが多いため一概には比較できませんが、家庭教師を時給換算すると、最低でも1,000円、最大で万単位、になることもあります。現実的に考えると、平均して「数千円」が家庭教師の時給です。
一方で、時給単位で働くアルバイトは、地方なら「1,000円」もらえれば好条件だといわれるように、「数千円」の時給で働くのは非常に難しいです。
そして、家庭教師という仕事は、全国津々浦々、どこでも需要があるので、「場所を選ばず時給数千円の仕事ができる」のは、多くの学生にとってメリットになるでしょう。
また、最近では完全在宅で家庭教師として働ける、オンライン家庭教師という働き方も出てきています。お客さまの自宅まで移動する必要がなくなるので、授業を入れやすく、非常に稼ぎやすいお仕事です。
家庭教師の多くは、「移動時間」をわずらわしく考えているため、完全在宅でできる点を魅力に感じる方もいるでしょう。
オンライン家庭教師が稼げるのかどうかを扱った、以下の記事も参考にしてください。

学びが多い
やりがいがある、待遇が良いという2つのメリットの他に、「学びが多い」のも家庭教師のメリットではないでしょうか?
人生における学びにはさまざまありますが、「他者の人生を追体験する」ことで多くの学びを得られるものです。だからこそ私たちは、わざわざお金を支払って、その人の人生のエッセンスが詰まった本を読んだり、著名な人物の講演を聞きにいきます。
しかし、家庭教師は仕事を通して、生徒という子供、保護者という大人の生き方に間近に触れ、追体験することができてしまいます。しかも、「お金をもらいながら」なので、これほど学ぶことに向いた仕事はなかなか見つけられないでしょう。
そして、このような学びは、必ず人生のどこかで生きてきます。学生なら就職活動に直接役立ちますし、社会人は対人スキルなど、仕事に必須な能力を磨けます。
また、これから親になろうとする方にとっても、子供と真剣に向き合う保護者の姿を見て色々と感じることもあるでしょう。「自分が親になったら」と考える機会はなかなかないため、これも大きな学びといえそうです。
そして何より、子供たちは、私たち大人が忘れた「子供の頃の大切な記憶」を思い出させてくれる、唯一無二の存在です。
学生講師にとっては、自分の子供の頃はそれほど遠い話ではないため、あまり実感が湧かないかもしれません。しかし、20代、30代、40代と歳を重ねるにつれて、子供たちの純粋無垢な姿は、講師に大きな影響を与えます。
「給食」「放課後」といった言葉が飛んでくるだけで、言葉にできない気持ちが訪れては消えていく。この感覚が好きな講師は、きっと筆者だけではないはずです。
少し脱線しましたが、家庭教師は働いているだけで自分の中に学びが蓄積していく、魅力的すぎる仕事です。このような点を大切にして働きたい方は、もう少し家庭教師として働いても良いかもしれません。
デメリット
以上のように、家庭教師はメリットの多い仕事ですが、当然デメリットも存在します。代表的なデメリットをまとめてみたので、再確認していきましょう。
やりがいしか感じられない
家庭教師の大きなメリットに「やりがい」があることは述べましたが、これが転じて「やりがいしか感じられない」ことになると、デメリットになってしまう可能性があります。
生徒や保護者とのコミュニケーションは、やりがいがあり、そして学びを得られるものですが、自分が許容できるラインを超えてしまうと「大きなストレス」を生み、「辞めたい」という気持ちへとつながるのです。
これは俗にいう「やりがい搾取」と呼ばれるものですが、この状態は自分が思っているよりも危険な状態です。即座に働き方を変えるか、職種を変える、あるいは、一旦働くことを辞めてみるのも良いでしょう。
ブラック
家庭教師をはじめとした教育業は、ブラックな働き方との親和性が極めて高いです。特に家庭教師は、使用するテキストから授業の構成、果てはお客さま宅までの移動まで、全て自分ひとりで行わなければならない「過酷な仕事」という一面を持っています。
だからこそ、登録している家庭教師センター、サービスによるサポートが必要ですが、「指導スタイルは十人十色」という理由から、思うようなサポートを得られないことが多いです。
加えて、塾講師のように、先生が1つの場所に集まって仕事をすることもないため、同僚によるサポートも期待できません。
このような「孤立無援」の状態に陥ってしまうと、人は誰でも「つらい」と考えてしまうものです。「辞めたい」と考えるのも無理はありませんが、サポート体制が充実しているサービスを選ぶことで、対処できる可能性も秘めています。
このWebサイトを運営するオンライン家庭教師サービス「まなぶてらす」は、先生たちが働きやすいよう、手厚いサポートを用意しており、同僚の先生たちの「横のつながり」をとても大切にしている、非常に珍しい家庭教師サービスです。
まなぶてらすのサポート体制について解説した、以下の記事も参考にしてください。「こんな家庭教師もあるんだ」と思っていただければ幸いです。

結果を要求される
「生徒の結果がなかなか出ない」ことが原因で、自分にはこの仕事が向いていないのではないかと考え、「辞めたい」と考えている方もいるでしょう。
家庭教師は他のアルバイト、仕事とは異なり「結果ありき」です。漠然と働いているだけでは当然結果が出ないため、試行錯誤を行いながら成長していく必要があります。
また、結果が出ないと家庭からのプレッシャーも感じるため、ストレス要因になりがちです。
このようなことに疲れてしまい、「もう少し気軽にできる仕事の方が良い」と考える方も多いでしょう。
生徒、保護者との相性がある
家庭教師は人と人が関わる仕事なので、どうしても相性が出てきてしまいます。したがって、現在担当している生徒、保護者との相性が合わないと、「辞めたい」と感じてしまうものです。
ハッキリいえば、これは仕方のないことだともいえます。教育業はサービス業の側面も持っているため、相性が合わないからといって、対応をないがしろにできないところが難しいところです。
特に保護者とのコミュニケーションはストレス要因になりやすいため、対処法を知っておく必要があります。家庭教師の保護者対応に関するノウハウを解説した、以下の記事も参考にしてみてください。

家庭教師をスムーズに辞めるための手順
ここからは、家庭教師を辞めたい方向けに、スムーズに辞めるための手順を解説していきます。
登録しているセンターやサービスによって異なる部分があると思いますが、基本的には以下の3つの流れで進んでいくと考えてください。
- 登録センターに相談する
- お客さまにお話しする
- 引き継ぎを行う
それぞれの項目について、詳しく解説していきます。
1:登録センターに相談する
家庭教師を辞めたいと考える方がやってしまいがちなのが、「最初にお客さまに相談する」ことです。家庭教師にとって、常日頃接するのがお客さまなので、まずはじめにお客さまに相談、お話をしたくなる気持ちはわかります。
しかし、お客さまにとっても、センターにとっても、「後任の先生が決まる前に辞めること」は絶対に避けてもらいたいはずです。お客さまの授業に穴が開くと、100%クレームにつながるので、まずは登録センターに話を通し、後任の先生を決めるまでの準備期間を設けてから辞めるのがマナーだといえます。
「辞めたいかも」と思った瞬間に相談しよう
したがって、理想をいえば「辞める」といきなり話をするのではなく、「辞めたいかも」と思った瞬間に登録センターに相談を持ちかたいところです。よほどずさんなサービスでない限りは、何らかのサポートをしてくれるでしょう。
また、サポートをしてくれなかったとしても、「この講師が抜けてしまうかもしれない」と認知させることはできるので、突然「辞めます」というよりは良いはずです。
期間でいえば、理想は3カ月、どれだけ遅くとも2週間前には登録センターに相談を持ちかけてください。家庭教師として働かせてくれているのは登録センターがあってのことなので、辞めるにあたる準備期間を与え、スムーズに辞められる状況を作りましょう。
具体的に辞めたい理由を伝えよう
登録センターに辞めたい意向を伝える時は、漠然と「辞めたいです」と伝えるのではなく、できるだけ具体的に辞めたい理由を伝えましょう。
漠然と伝えるだけでは、
- 講師が運営側に言えない問題を起こしたのかもしれない
- 担当していたお客さまが何か問題を起こしたのかもしれない
- 個人契約をするために辞めるのかもしれない
サービス側にこのような疑念を与え、後々になってトラブルになる可能性があるからです。したがって、言いにくいことでもしっかりと伝え、正直に対応することがスムーズに辞めるために必要なことになります。
お客さまへの対応方法を確認しよう
また、登録センターに話を通したこの段階で、お客さまへの対応方法を確認、共有しておいた方がスムーズに進みます。特に注意すべき点が、「辞める旨の伝え方」です。
家庭教師を辞める理由が、就職や引っ越しなど、避けられないものならそれを正直に伝えれば問題ありませんが、お客さまとの相性やトラブルが原因で辞める場合は、それをどのように伝えるかを一人で考えるのは少し危険です。
登録センター側に辞める理由とその伝え方を確認しておき、後になってトラブルになる可能性を少しでも減らしておきましょう。
2:お客さまにお話しする
登録センター側に辞めることを伝え、「お客さまにお話ししても良い」と判断されたら、お客さまに辞める旨をお話ししていきましょう。
お客さまにとって、急に先生が離れてしまうことは不安要因なので、できれば数週間前に伝えられるような時間の余裕が欲しいところです。
伝えるべきことは、以下の3つに分けられます。
- 謝罪
- 辞める理由
- 感謝の言葉
それぞれを詳しく確認していきましょう。
謝罪
どのような理由であれ、講師の方から担当を降りることは、お客さま目線からすると不信感や不安など、ネガティブな感情を抱きます。したがって、辞める旨を伝える時は必ず謝罪の気持ちを忘れないでください。
この謝罪があるかないかで、スムーズに辞められるかどうかが決まってきます。
辞める理由
謝罪に加えて、「辞める理由」も必ず伝えなければいけません。なぜ辞めるのかがわからないままだと、講師だけでなくサービス全体への不信感へとつながり、後々になってトラブルへと発展しかねません。
一方で、先述の通り、辞める理由を100%自分の言葉だけで伝えるのは危険です。必ず登録センター側と連携を取り、どのような理由で辞めるのか、またその伝え方について確認しておきましょう。
感謝の言葉
謝罪の意、辞める理由を伝えたら、最後に「感謝の言葉」を贈りましょう。これは、生徒だけでなく保護者にも伝えるべきです。
まず生徒には、担当できて良かった旨を伝えます。印象に残っていることや、楽しかったこと、嬉しかったことなどポジティブなことを伝え、最後に「今後も応援している」と伝えれば、生徒にとって良い印象で辞められるでしょう。
そして、保護者には重ねて謝罪の意を表明し、生徒の成長や今後の展望などを伝えます。加えて、後任の講師がすぐに用意できることなど事務的なことも欠かさずに伝え、「今後も安心してサービスを利用できる」ことを強調しましょう。
3:引き継ぎを行う
登録センター、お客さま、双方への対応が終わったら、最後に引き継ぎ作業を行います。登録センターによって、後任の先生と交流を持てるかどうかは変わってきますが、以下のことをまとめておくとスムーズに引き継げます。
- 生徒の性格などパーソナルな情報
- 生徒の成績などの情報
- 保護者対応の方法
引き継ぎ作業は家庭教師の直接的な業務内容ではないため、家庭教師を辞めていく方にとっては、気が乗らない作業かもしれません。
しかし、以上の情報をほんの少し知っているかどうかで、後任の講師の立ち回りやすさは大きく変わってきます。また、後任の講師がスムーズに授業に臨めれば、辞めたことに対するクレームを防げるので、辞める講師、後任の講師、双方にメリットがあります。
したがって、以上の情報をまとめておき、資料として渡したり、センターを通してメールを送るなど、しっかりと引き継ぎを行いましょう。
- お客さまに辞める旨を伝える前に、登録センターに話を通しておく。
- お客さまには、謝罪、辞める理由、感謝の言葉を必ず伝える。
- 引き継ぎ作業を行い、後任の講師がスムーズに授業ができるようにする。
家庭教師を辞める時の「お金、契約」に関する注意点
家庭教師を辞める時は、以上の3ステップに従うことで、基本的には誰でもスムーズに辞められるでしょう。しかし、中には一筋縄ではいかないケースがあり、契約、お金にまつわるトラブルへと発展することも少なくありません。
結局のところ、家庭教師はお客さまを紹介してくれる登録センターと契約を結んでいるため、登録センターが首を縦に振ってくれないと、辞められないことになります。これこそが、家庭教師を辞める上での最大の障壁です。
登録センターが講師の退職を拒む理由として、以下の3つがあげられます。
- テスト前や受験シーズンなど、時期が悪い
- お客さまとの直接契約を疑われている
- 講師都合では辞められない
このうち、「時期」に関することや「直接契約」に関することは、講師を辞めさせたくない理由として妥当です。テスト2週間前以内、受験シーズン真っ只中に辞められては確実にクレームにつながりますし、直接契約をされてしまっては、本来得るはずだった利益を受け取れなくなるからです。
したがって、時期については、できるだけお客さまに迷惑をかけないよう、最大限の配慮をしなければいけません。また、直接契約に関しては、「辞める理由」を誠実に、正直に伝えることで、不信感を抱かせないようにしましょう。
「罰金、違約金、損害賠償金」は支払う必要がある?
一方で、厄介なのが「講師都合では辞められない」といわれるパターン。そして、この後に必ずセットになるのが、
- 罰金
- 違約金
- 損害賠償金
お金に関するこの3つのワードを用いた引き止めですが、登録センターからこのようなワードを持ち出されると、誰でも不安になってしまうものです。しかし、何十万、何百万という莫大なお金を支払うことはまずないので、正しい知識を身につけていきましょう。
罰金
はじめに「罰金」についてですが、罰金は刑法を違反した場合などに発生するものなので、そもそも民間業者に罰金を請求する権利はありません。
したがって、罰金というワードが飛んできたら、「単なる脅し文句」だと思ってください。
違約金
続いて違約金についてですが、法的ではなく、あくまで一般的には「契約内容に違反した場合に発生するお金」だと認識されていると思います。
したがって、多くの方は「家庭教師との契約を途中で解約した(する)」からこそ、違約金は支払って然るべきだと考えてしまうものです。
また、登録センター側も「途中解約は〇〇円の違約金を支払うと契約書に記載がある」といったことを伝えてくる場合がありますが、違約金は支払わなければいけないのでしょうか?
結論からいえば、契約違反に関する違約金は、支払う必要があります。労働基準法の第16条に「賠償予定の禁止」という以下のような文言があり、これを根拠に「支払う必要がないのでは?」と考える方もいるでしょう。
労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償額を予定する契約をしてはいけません。
しかし、家庭教師の契約は労働基準法の適用外となる「業務委託契約」であることがほとんどなので、契約書内で定められていることが最優先となり、違約金を請求する権利が生まれます。
だからといって、契約書に書かれた金額を額面通りに支払う必要があるかといえば、決してそんなことはありません。例えば、「途中解約は違約金100万円」などと書かれていても、一般常識で考えて、この金額に妥当性、合理性は全くありません。
したがって、契約違反による違約金は支払う必要はあるものの、金額については争う余地が十分にあることは頭に入れておきましょう。
損害賠償金
最後に「損害賠償金」についてですが、損害賠償金とは、その名の通り「損害が発生した時に相手に請求するお金」のことで、民放415条にて定められている、全ての国民に与えられた権利です。
今回のケースにおいては、講師が業務を辞めたことによって、業務に何らかの支障が出た場合に請求できるお金、それが損害賠償金になります。
では、講師が辞めることで本当に業務に支障が発生し、損害賠償金を請求できるのでしょうか?
結論からいえば、「請求できない」とは言い切れませんが、ほとんどの場合で損害賠償を請求できるほどの支障は出ないでしょう。仮に講師がひとり辞めたとしたら、その講師の代わりに働いてもらえる講師を見つけ派遣を行うため、業務に支障は全く出ておらず、損害賠償はほとんど生じていません。
また、損害賠償を請求する場合、損害が発生した根拠などを客観的に証明できるものが必要になりますし、講師側が支払いを拒否し、争いになれば、当然裁判になります。裁判費用は決して安くないため、損害賠償を裁判により確定できたとしても、裁判にかける時間やお金を考えると、まず損害賠償を請求することはないと結論できます。
したがって、登録センター側に大きな支障が出ていない場合、損害賠償金は脅し文句としていっているに過ぎないと判断して問題ありません。
契約、お金で困ったら相談を
以上のように、契約違反に関する罰金、違約金、損害賠償金については、正しい知識を持って対応を行うことで、スムーズに辞めることができます。
しかし、契約、お金に関することは「ケースバイケース」ともいえますし、不確定のことが多く不安が募るため、自分一人で対応すべきではありません。
大学生なら保護者や大学へ、社会人なら行政が実施する法律無料相談や法テラス、労働基準監督署へ、それぞれ相談を持ちかけ、冷静な対応を心がけてください。
家庭教師は計画的に辞めることが大切
家庭教師は登録センター、お客さまの双方に挟まれる立場なので、「辞めにくい」という特徴があります。
辞める数週間前に双方へ事前に連絡をし、引き継ぎまで行うことで、どちらにも迷惑をかけずに退職できます。一方で、登録センターから契約、お金に関することを持ちかけられた場合、一人で悩まず相談をして解決してください。