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家庭教師が悩みやすい宿題をやってこない生徒への対処法は?現役講師が徹底解説!

家庭教師が悩みやすい宿題をやってこない生徒への対処法は?現役講師が徹底解説!

塾講師や家庭教師にとって、生徒に出す宿題は成績アップのために欠かせないものです。次の授業までの間にしっかりと宿題をやってきてくれれば、実力は着実に付いていくものですが、中には宿題をやってこない生徒もいます。

宿題をやってきてくれないと、「なんでやってくれないんだろう」と困ってしまうものですが、頭ごなしに叱るのもよくありませんし、かといって宿題をやってこない状況のまま放置しておくのももちろんNG。

このように、宿題をやってこない生徒への対応は非常に難しいため、悩んでいる先生も多いです。この記事では、宿題の重要性ややってこない生徒への対処法、最適な宿題の量と質を現役講師が解説しています。

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家庭教師が知っておきたい宿題の重要性

塾講師や家庭教師の先生の多くは生徒に宿題を出していますが、言われたことをしっかりとやってこない生徒も中にはいます。そんな時、生徒を責めてしまいたくなる気持ちも理解できますが、一方で「宿題をなぜ出しているのか」を考えてみることもまた大切です。

ただ漠然と宿題を出すのではなく、明確な理由に裏付けされた適切な宿題を出す必要がありますが、そのためには「宿題の重要性」を知っておかなければいけません。

そこでまずは、宿題をやってこない生徒への対処法の前に、「宿題の重要性」について解説していきます。

宿題は「定着」を促すために出す

宿題は「授業内容の定着」を促すためにも、非常に重要なものです。塾や家庭教師の授業時間はサービスによって違いがあれど、おおよそ50分〜90分となっており、この時間だけで100%定着させることは非常に難しいです。

だからこそ、授業時間外にも家庭学習を行ってもらい、授業で扱った内容を宿題として出しておくことが大切だとされていますが、宿題をやってこなかった場合、どの程度授業で扱った内容を覚えているものなのでしょうか?

宿題をやってこない生徒は「2割」しか覚えていない

結論からいえば、もし生徒が一週間の間で宿題をやってこなかった場合、授業内容の「2割程度」しか覚えていないと考えてください。これは「記憶」に関する心理学の有名な研究である「エビングハウスの忘却曲線」で明らかにされています。

この研究は、人間が一度学んだことを振り返らない(復習しない)場合、時間経過とともに以下のように忘れていくことを明らかにしています。

経過時間 忘却率
20分 42%
1時間 56%
1日 74%
1週間 77%

出典: 成績UPに効く復習のやり方とは?おすすめ復習法と学年別や教科別ポイントを解説! – ベネッセ教育情報サイト

ご覧のように、授業が終わった20分後にはおよそ4割を、1時間後には半分を、1週間後には8割程度、忘れてしまうことを示しています。

50分〜90分の授業中、どれだけ熱心に生徒に指導をしたとしても、宿題をやってこないだけで8割を忘れてしまうと考えると、「授業のほとんどが無駄」だといっても過言ではありません。成績アップは夢のまた夢なので、定着率向上のためにも宿題は大切だとわかります。

宿題で「学習習慣」を付けることも大切

定着率を上げること以外にも、「学習習慣を付ける」ために宿題は大切です。

家庭教師にとっては、生徒への対応だけでなく保護者対応も大切ですが、多くの保護者さんは「一人で勉強できるようになって欲しい」と考えています。一方で、生徒の多くは「授業を受けているだけで成績が上がる」と考えているため、このギャップを埋めるためにも、宿題を通じて家庭学習を習慣づけることが大切です。

特に小学校6年生や中学校3年生など受験を控える生徒は、家庭学習をどれだけできるかで受験の結果が大きく変わってくるので、早め早めに学習習慣を身につけなければいけません。

夏休みなど長期休みの有効活用にも有効

また、夏休みや冬休みなど、長期休みを有効活用する上でも宿題は必要不可欠です。長期休みになると、寝る時間や起きる時間がバラバラになってしまい、生活習慣そのものが乱れがちなので、受験生でない限りは「勉強どころではない」ような生徒が続出します。

このようなことを防ぐためにも、宿題を通じて勉強する時間を確保させ、できる限り「長期休みボケ」を防ぎたいものですし、多くの保護者さんも同じように考えています。

この章のまとめ
  • 宿題を出さないと授業内容の8割を忘れる
  • 宿題を通じて学習習慣をつけさせよう
  • 夏休みなど長期休みで宿題を上手に使おう

宿題をやってこない生徒への対処法

宿題の重要性について解説しましたが、ここからは宿題をやってこない生徒への対処法を考えていきましょう。

ただ頭ごなしに叱るだけでは状況は改善しないので、具体的な対処法を解説していきます。

まずは対話から始める

生徒が宿題をやってこなかった時、まずはじめにすべきことは「対話」です。宿題を忘れてきた生徒は「悪いことをした」という意識があるため、どうしても萎縮してしまいがち。

そんな心理状態で先生が一方的に話してしまうと、生徒は何も喋れなくなってしまうので、まずは生徒の心の中を吐露させるような対話を行っていきましょう。

大切なのは「受容」の姿勢

この対話の中で最も大切なことは、生徒が何を話したとしても「受け入れる」姿勢を持つことです。例えば、「どうして宿題をやってこなかったの?」と質問をしたとしましょう。恐らく、生徒は以下のように答えてくれるはずです。

  • 時間がなかった
  • めんどくさかった
  • やるのを忘れていた

「時間がなかった」という理由は仕方がない部分もありますが、「めんどくさかった」「やるのを忘れていた」という理由は、理由というよりは言い訳に過ぎず、生徒のためを思って毎回宿題を出している先生にとっては、感情的になってしまう部分もあるでしょう。

しかし、ここで感情を表に出し過ぎてしまうと、生徒は聞く耳を持たなくなってしまうので、まずは以下のように受け入れる姿勢を見せてください。

  • そうだよな、1週間って意外と短いし、時間がない時もあるよね
  • 先生もさ、宿題やるのはめんどくさかったし、その気持ちすごい分かる
  • 忘れちゃうこともあるよね、先生だって色々なこと忘れちゃうもんな

このような姿勢を見せることによって、「怒られる」と構えていた生徒の心境が変化し、素直に話を聞いてくれるようになります。

宿題をやる意味を伝える

宿題を忘れてきた生徒に「受容」の姿勢を見せた後は、「宿題をやる意味」を伝えてみましょう。

ハッキリいえば、宿題は生徒にとって苦痛です。どれだけ先生側が「生徒のため」と思って出していたとしても、生徒にとっては苦痛以外の何者でもないので、「宿題をやる意味」がないと苦しいことに向き合おうとは思えません。

宿題をやる意味とは、先述の「宿題の重要性」に直結するので、

  • 復習をしなかったら人間は1週間で8割近く忘れる
  • 宿題を通して一人で勉強ができるようになる
  • 宿題をやれば必ず成績が上がる

このようなことを分かりやすく、感情的になり過ぎずに伝えていきましょう。

宿題の質と量を見直す

生徒との対話が最も重要な対処法ですが、「宿題の質と量を見直す」ことも大切です。

子供にとって、「宿題」という二文字の漢字は「嫌なもの」と脳に強く刷り込まれています。そんな中、さらに膨大な量、難解な問題が待ち受けていては、「ちょっとでもいいからやってみよう」というやる気さえ削がれてしまうもの。

したがって、宿題の質と量を一度見直して、まずは「宿題に取り組む姿勢」から育てていきましょう。

一人でもできる簡単な問題を選ぶ

「宿題の質」で大切なことは、一人でも取り組める簡単な問題を選ぶことです。数学なら文章題や応用問題よりもシンプルな計算問題、英語なら和訳、英訳よりも穴埋め問題、理科、社会なら暗期問題、そして国語なら漢字など、「自分の頭で考える要素を極力排除した宿題」なら取り組みやすいはず。

理想をいえば、「自分の頭で考える」ような宿題を出して熱心に取り組んで欲しいものですが、宿題をやる習慣がまだない子供にとって、それはあまりにもハードルが高過ぎます。

まずは簡単に飛び越えられる宿題を出して、段階的に負荷を上げていく「急がば回れ」の戦略を組み立てましょう。

必要最小限で最大の結果が出せる量を出す

続いて宿題の量ですが、「必要最小限で最大の結果を出す」ことを最優先に考えましょう。

漠然と毎回「このページとこのページやってきて」と宿題を出すだけでは、「なんでこんなたくさんの宿題をやらなければいけないんだろう」と考えてしまい、宿題を単なる苦行、作業だと思い込んでしまいます。一言でいえば、「宿題に配慮が感じられない」のです。

そう思わせないためにも、要点を絞ったシンプルな宿題とすることが大切です。例としてあげると、数学の宿題で1ページを丸々全部宿題とするのはなく、(2)や(4)など「偶数問題だけ」をやるように伝えると、生徒の宿題に対する見方は大きく変わるでしょう。

「自分のために宿題の量を調節してくれている」ことも伝わるため、やる気にもつながりやすいです。

宿題をやる意義は第一に「定着」がありますが、1ページ全部を宿題に出してやってこないなら、たとえ問題数が半分になったとしても、やってこれる「最小限の量」を出した方が合理的です。このような一工夫も、宿題を生徒にやってもらう上では大切なことだといえます。

保護者さんに協力してもらおう

宿題は家庭学習の一つなので、保護者さんの協力が必要不可欠です。先生、保護者さんが一丸となって、生徒をサポートしていくことで、家庭学習の習慣が根付いていき、宿題をやるようになってくれます。

したがって、宿題をなかなかやってこれない生徒の場合は、保護者さんに「サポートをして欲しい」旨を伝えましょう。

しかし、ここで漠然と「宿題をやらせてください」といってしまっては、あまりに投げやり過ぎます。保護者さんたちにとって、私たちは「教育のプロ」ですから、「どのようにサポートをすればいいのか」について具体的にお話をすることが大切です。

  • 宿題を忘れないように声かけをしてもらう
  • 机に向かうよう促してもらう
  • ゲームやスマートフォンなど、勉強の妨げになるものの使用をコントロールしてもらう

ケースバイケースなのでなんともいえませんが、基本的にはこのようなアプローチになるでしょう。生徒が宿題をやってこない背景には、必ず家庭での生活習慣が関係しているので、この部分を中心にケアしてもらえるよう、保護者さんに声がけしましょう。

保護者さんへの対応は難しい部分もあるので、以下の記事も参考にしてください。

https://www.oshieru.work/tutor-parent/

宿題は成績アップに欠かせない家庭教師にとっての命綱

生徒の成績を向上させるには、分かりやすい授業に加えて、「授業時間外にどれだけ効果的に勉強させられるか」が極めて重要です。宿題は家庭学習の基本中の基本なので、宿題をしっかりやってこれるかが、成績アップのための至上命題。

記事で紹介した対処法を踏まえた上で、時に保護者さんを巻き込んで、宿題をやってきてもらえるようサポートしていきましょう。

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